Feb 15, 2009
前回の続き。オンライン申請の詳細。
環境をセットアップしてからいろいろ調べてみると、本人登記を「オンライン」で完了させる方法はありませんでした。いわゆる「半ライン」申請というやつで、申請書の本体は電子署名して送信したものの、添付書類(契約書、確認済証等)はその原本を法務局に出頭して持って行くことになりました...。(結局、申請書本紙以外は通常の窓口申請と同じということになります。)
※書留郵便で送付することもできます。
<表示登記の添付情報の特則>
一定の要件を満たす電子証明書をつかった電子署名は、実印を捺印するのと同様の効果を発揮しますが、登記に必要なすべての書類が電子化されていて電子署名がついているわけではありません。
・本来住民票等の添付書類は、電子化にあたり作成者(住民票の場合は区長)の電子署名が必要。
・引渡証明書、委任状等も同様で、作成者(工務店や申請者)の電子署名が必要。
これではオンライン申請が全然普及しないため、表示登記については下記特例がありスキャンしてPDF化したものに申請者か土地家屋調査士の電子署名をして、3日以内に原本を提示すればOKとなるようです。
不動産登記令
(表示に関する登記の添付情報の特則)
第十三条 前条第二項の規定にかかわらず、電子情報処理組織を使用する方法により表示に関する登記を申請する場合において、当該申請の添付情報(申請人又はその代表者若しくは代理人が作成したもの並びに土地所在図、地積測量図、地役権図面、建物図面及び各階平面図を除く。)が書面に記載されているときは、当該書面に記載された情報を電磁的記録に記録したものを添付情報とすることができる。この場合において、当該電磁的記録は、当該電磁的記録を作成した者による電子署名が行われているものでなければならない。
2 前項の場合において、当該申請人は、登記官が定めた相当の期間内に、登記官に当該書面を提示しなければならない。
<建物図面は>
さて、肝となる建物図面・各階平面図はどうかというと、これも詳細のフォーマットが決まっています。
不動産登記規則第73条第1項の規定により法務大臣が定める土地所在図等の作成方式
XML署名をしたTIFFファイルかXML図面ファイルであれば、オンラインで使える。
逆に言えばPDFを含むそれ以外の形式はオンラインで使えず、B4印刷に捺印し、提出することになります。
なお、現時点でXML署名するソフトウェアは土地家屋調査士しか使えず、誰でも使えるものが存在しません。
ということで、建物図面も他の添付書類同様、紙で提出することになります。
<住所変更の罠>
本来はオンライン申請では住民票の代わりに住民基本台帳コードを記載すれば省略が可能です。
しかし、表示登記に先立って区役所で住所変更をしましたが、それが災いしてか旧来の住基コードでは新住所が検索されないという状況が発生。ということで、住民票を追加提出する羽目になりました。
<現地調査立会い>
本人登記の場合、世田谷出張所の登記官が現地調査をします。申請内容確認後、補正事項を含めて電話で連絡があり、日程調整をして調査に立ち会うことになりました。申請書本紙は問題なし。添付書類は下記2点が追加。
1)平面図(建築確認に使ったもの)、2)住民票(上記参照)
<あとがき>
過去PKI業界に居た私からしても、これはキツイ。あまりにも読めない部分があってリスキーでした。
登記官からは「本人登記でオンラインというのは私も初めてです。よくできましたね」といわれました・・・orz。
紙でやらなければいけない作業の多さ、煩雑な特例ルールの把握が厳しく、これは登記のプロでもセキュリティやシステムのプロでも厳しいのではないかと。
メリットとしては、
・会社でも家でも平日夜8時まで申請が可能
・申請書作成ソフトで雛形がある程度できていること
・一応申請書本体の補正もオンラインでできること
・オンラインバンキング(ペイジー)の電子納付が使えること
の4点ですが、これだけでは正直普及は厳しいと思います。
PDF署名やXML署名の敷居を下げるとか、原本は一定期間(5年とか)保存を義務付けておき申請時の提出は必須としない(監査時に提出を要求する)とか、もう少しなんとかならないものでしょうか。